競馬

現代の競馬は、サラブレッドの出現に端を発しているが、その形成期にあった17世紀とそれに続く18世紀のあいだ、イングランドの君主制と歩みをともにしてきたことから”王様のスポーツ”とも呼ばれている。それ以来、英国流の競馬は世界中に継承されてきた。

世界規模の産業

 英国は、未だに国際競馬産業の中心的存在であるという姿勢をくずしていないが、21世紀に世界的に最も大きな影響を与えたのはドバイの王族で大富豪のマクトゥーム家による競馬事業である。
 マクトゥーム家のゴドルフィン事業は、英国競馬の中心地であるニューマーケットを基盤にしながらも、ドバイには世界最大級の競馬複合施設をつくり、国際的に最も評価の高いレースを開催している。
 このスポーツでは、発祥のときから賭け事が中心的要素であったので、一流の競走馬をめぐっては、想像を絶するほど高額での取引が行われている。

クラシック競走

 競馬開催国であればどの国でも、多かれ少なかれ英国競馬での基準を踏襲したクラシック競走を開催している。
3歳馬のための英国のクラシック競走には、セントレジャー、2000ギニー、1000ギニー、ダービー、オークスがある。3冠競走は競馬の中で最も栄誉のあるもので、セントレジャー、2000ギニー、ダービーの3競走を指す。
 米国で、英国のクラシック競走に匹敵する競走としては、ケンタッキー・ダービー、プリークネス・ステークス、ベルモント・ステークスおよび米国オークスがあげられる。このうち最初の3つは、米国の3冠競走とされている。

冬期の競馬

 冬は伝統的に障害競走(スティープル・チェイシングおよびポイント・ツー・ポイント)の季節だが、発祥の地は英国とアイルランドである。
 スティープル・チェイシングはプロによる競争だが、ポイント・ツー・ポイントはアマチュアのために開催される競走で、許可を受けている狩猟家によって競われる。
世界最大のスティープル・チェイシングは、1839年に始まったグランド・ナショナルで、エイントリーで開催される。この障害競走は、4マイル856ヤード(7.22㎞)のコースを走破する。30基の障害が設けられているが、その一部は着地側に大きな段差がある。
最もよく知られている障害は、”恐怖のビーチャーの川”と呼ばれ、競走中にこの障害を2回飛び越さなければならない。この障害で落馬したマーチン・ビーチャー大佐の名前を取ってつけられたが、今もそこで脱落する者が絶えない。
グランド・ナショナルは国際的に最も有名な競馬だが、スティープル・チェイシングの中心はチェルトナム・ナショナル・ハント・フェスティバルで、そこでは最高の栄誉であるゴールド・カップが開催されている。ヨーロッパで最も厳しいレースは、チェコ共和国のグラン・パルデュビスで、4マイル(6.4㎞)のコースには自然の地形を生かした飛越のむずかしい障害が多数存在している。