子馬の発育

子馬は生後30分ほどで立ち上がり、母乳を飲み始める。発育は人に比べると著しく早い。馬房の中で生まれた子馬は、天気が悪くない限り、次の日には母馬とともに外に出すことができる。寒くて湿度の高い日など、母馬と子馬は、夜間は舎飼すべきである。

出生初期

 子馬と人との関係は出産と同時に始まる。たとえば、出産時には子馬の鼻孔から粘液や薄膜を取り除いてやる必要があるし、最初の24時間以内に子馬病や破傷風の予防注射をしなければならない。
 最初、母馬は、介助をしようとする人と子馬の間に立ち、子馬を守ろうとする。賢くて従順な母馬ならすぐに了解し、妨害をやめる。そして、母馬が人を信頼している様子をみせれば、子馬もすぐに人に慣れる。

ハンドリング

 子馬のハンドリングを始めるのは、屋外よりも厩舎内の方が良く、終わるときにはいつも短い時間、必ず母馬を参加させる。この頃には、子馬は促されなくても自発的に母馬の後ろについていく。
 子馬が生後3日以内のときは、誰かに母馬を持ってもらって子馬のハンドリングをした方が良い。母馬を馬房の壁のそばに立たせると、子馬は無理にしむけなくても母馬のもとへ歩み寄る。ハンドラーは、右腕を子馬の尻に回し、左腕を胸前に回す。
 数日で子馬は、自分が母馬のそばにいて脇腹が母馬に触れている限り、不安な様子をみせずに、抱いている人の腕の中で静かに立っていられるようになる。
 次のステップは、子馬を引いて歩かせることである。コレも最初は馬房内だけで行う。母馬を静かに引いて回ると、子馬は本能的に母馬を追うようにして後ろをついていく。そのとき、右腕で子馬をやさしく前方へ押してやると、子馬は躊躇せずに母馬に従おうとする。その際、子馬が突然暴れて走り出さないように左腕で押さえておく。
 1日程度で、左腕の代わりに手入れ用の柔らかい布を子馬の頸の周りに巻き、短い時間ではあるが、そのままパドックと厩舎のあいだを往復することができるようになる。
 子馬は、人が胸や背中、後躯を撫でてやると安心する。というのは、この動作は普段母馬が子馬の体を愛撫しているときと同じ感覚を呼び起こすからである。
 1週間ほどで、子馬用の革頭絡を装着することができるようになり、母馬からそう離れない限り、手綱で引かれるのに違和感をもたなくなる。頭絡は最初は厩舎内で装着する。頭絡を無理に子馬の鼻から装着しようとすると嫌がってけがをすることがあるので、子馬の体を後ろからやさしく押してやり、子馬が自分から鼻先を頭絡の中に入れるようにさせる。
 2週目以降、子馬は、人に体中をさわられたり撫でられたりすることにすっかり慣れる。蹄を数秒間、人が持ち上げることもできるようになる。これは子馬が3か月齢になった際、装蹄師が削蹄するときのための練習にもなる。
 3〜4か月齢になると、子馬は母馬と一緒に馬運車の荷台やトレーラーへ乗ることを学ぶ。トラブルを起こさず乗せるコツは、まず子馬を先に乗せることである。2人で両腕を広げて子馬を囲い込み、押し上げるようにしてゆっくり進む。母馬は子馬を気づかい、離れないようにすぐに後ろについてトレーラーに乗り込んでくる。

飼養管理

 牧草が豊富で、母馬が栄養を十分とれていれば、2か月齢までの子馬の栄養は、母乳と牧草で十分足りる。2か月齢の終わりには、子馬は母馬の濃厚飼料も食べるようになる。
 5〜6か月齢までの子馬には、目安として1日1ポンド(0.5kg)の濃厚飼料を与える。エンバク、亜麻仁を煮たもの、オオムギなどに加えて、粉乳入りの飼料を1日2オンス(60g)から8オンス(230g)与える。そして骨の発育のために肝油も与える。
 冬期には子馬に柔らかい乾草をたっぷりと摂取させる必要がある。そうしたものなら、子馬のまだ未成熟な歯と消化器官に負担はかからない。こうした栄養面のほかに、子馬には人間の幼児と同様、十分な睡眠と遊び回るための十分なスペースが必要である。
 牡子馬は種牡馬として残すつもりが無い場合は、普通離乳期に達する前に去勢手術を行う。去勢手術はもっと後でも施されるが、牡が2歳まで去勢しないでいると、手がつけられないほど乱暴になってしまうことがある。
 子馬の寄生虫の駆除は、離乳をする前に実施する重要な仕事である。(抗破傷風薬の投与はその後に行う)。

離乳

 離乳は、4.5〜6か月齢の、子馬の産毛が暗い色に変わり、飼料だけで成長できるようになってから行う。実際上、離乳はどうしても避けることのできないステップである。しかし、子馬・母馬の双方にストレスとなるため、慎重に行わなければならない。
 子馬は離乳の準備として短い期間、母馬から引き離すのが良い。子馬が仲間と馬房に残り、餌を与えられているあいだ、母馬のほうは調教することもできる。
 最終的に離乳するときは、親子は最低4週間は、別々にしておかなくてはならない。この間、可能であれば、子馬を敷料を厚く敷いた安全な馬房に収容し、母馬は遠くに連れていってしまうほうが良い。1週間後、近くで母馬の姿が見えず声も聞こえないような環境であれば、短時間放牧をしてもかまわない。
 子馬の自然な発育には、良質な飼料と自由に動き回れる環境が不可欠である。子馬が2歳になるまでは、1日7ポンド(3kg)以上の濃厚飼料と、食塩やミネラル添加物、肝油などを与える。乾草は自由に食べられるように、また清潔で新鮮な水をいつも十分に飲めるようにしておく。
 子馬を適切に管理することは、成長した後でその馬に課せられる使役作業やトレーニングに応え得る、丈夫で健康な体をつくることにつながる。また、精神的な成長に関しても同じことがいえる。適切な世話をし、温かい目で自然な成長を見守るなかで、子馬は人に対する従順性も学んでいく。

生後2週目
生後2週目
2週間たてば、子馬は人の存在に慣れる。
休息
休息
子馬は休息をたくさん必要とし、長時間横たわった姿勢で過ごす。
生後6週目
生後6週目
6週間たつと、子馬には力強さが備わってくる。それに伴い自立心も出てくる。この頃になると、母馬と同じ餌を口にすることもあるが、まだ母馬からの授乳も必要とする。
2〜6か月齢
2〜6か月齢
子馬の柔毛や乳白色の体毛は、2か月齢になると抜け始める。5〜6か月齢になると、子馬は母馬から離乳してもよいほどに力強くなる。
6か月齢
6か月齢
離乳後の子馬は、四季を問わず、少なくとも日中は放牧されることで、より健康に成長する。
2歳馬
2歳馬
2歳では、このような欠点のない馬になることが期待されている。